●炊飯器の内蔵電池交換(象印 NS-UA05)
長く使っていた炊飯器の内蔵電池を交換した。
象印の「マイコン炊飯ジャー 極め炊き NS-UA05」。非IHの3合炊き炊飯器。2008年製。
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※以下は自己責任で電池交換してみた記録です。電池交換は販売店(メーカー)に任せるのが安全確実です。
●電池切れの症状が出る
数年前から、以下の症状が出ていた。
・炊飯器の液晶(時刻)が表示されない
・電源プラグをつなぐたびに時刻設定しないと予約炊飯ができない
・炊飯スタート/完了時の報知音(メロディ・ピー音切り替え)設定が保存されない
など。これは電池切れだと思う。
普通にご飯は炊けるのでそのまま使っていた。そろそろ買い換えも考えているけど、報知音をピー音で使いたくなったので電池交換してみることにした。
●炊飯器の電池交換について情報収集してみる
電池交換についていろいろWeb検索してみた。電池交換に挑戦した方のサイトもけっこう見つかった。その結果、象印だけではなくほとんどのメーカーが以下の状況になっていることが分かった。
・炊飯器は、かなり電池交換しにくい構造になっている
・内蔵リチウム電池は、内部基板に直接半田付けされている
・直接半田付けするために、リチウム電池は端子付きの特殊なものが使用されている
・メーカーに電池交換を依頼すると数千円(5000~7000円くらい?)かかる
・基板まるごと交換になる模様
といった感じ。1万円もしない炊飯器の電池交換に5000円というのはちょっときついので自力交換を試してみるけど、作業の難易度は高めなので買い換えも考えてダメ元で作業してみることにした。
炊飯器は発熱体があるし、発火の危険もともなう。少しでも不安を感じたら作業を中止して買い換えることにする。
●炊飯器を分解する
炊飯器底面のネジを外す。ネジ4本のうち1本がトルクスねじ(ネジ溝が星形のネジ)になっていた。背面のネジ・パネルも外しておいた。
プラスチックのヘラを使って本体を分割。ヘラを本体の合わせ目にこじ入れ、固定用のツメの場所を探りながらツメを外してゆく。
本体を上下に分割できた。ほとんどの部品は上側についていて、基板類も見やすい場所にあった。
●内蔵電池を交換する
基板をのぞき込んでリチウム電池の場所を探す。銀色の丸い部品がそれっぽい。基板にはその部品の裏に「BAT」「+」「-」の印刷があるのでたぶんこれ。
確認のため基板も外す(ネジ3本)。やっぱりリチウム電池だった。
リチウム電池はソニーのCR2450が使われていた。Web検索では多くの機種が端子付き電池だったけど、これもそうだった。
端子付きのリチウム電池は普通の家電量販店やホームセンターには売っていないけど、Amazonで探したらパナソニックのCR2450が500円くらいで売っていたので注文。業者用の電池をばら売りしている感じ。ただ、ほかには二次電池(充電式)と書いてある紛らわしい商品もあったので、届いたらテスターで電圧が出ていることを確認。
左が基板から外した旧電池、右が注文した新電池。型番、電圧、端子の形、極性、端子間の距離も同じでこのまま置き換えられるのを確認。
新しい電池を基板に半田付け。この時点で通電し始めたはずなので、液晶表示が復活しているのを確認。
今回は使わなかったけど、普通のボタン電池が使える電池ホルダーも一応買っておいた(2個で200円くらい)。半田付けの熱が電池に伝わらないので、これも良さそう。ただ、多少スペースを取るので全ての機種に使えない可能性はある。
他の方の電池交換ブログで見かけたけど、端子のない普通のリチウム電池に直接リード線を半田付けするのは危険。
通電も確認できたので基板を元通りに取り付け、配線類の挟み込みに注意しながら本体を組み立て直した。
●無事電池交換完了
というわけで電池交換完了。
液晶(時刻)表示が復活、予約炊飯や報知音の記憶もできるようになった。
もうしばらくこの炊飯器を使うことになりそう。
追記:(2019.12.11)
修理から約11か月経ったけど特に不具合はない。耐久性は問題ない模様。
●炊飯器の電池交換対応について考えてみる
Web検索で炊飯器の電池交換について書かれたサイトを読んだり、炊飯器の口コミサイトを読んだりすると、電池交換のメーカー対応についての不満は多い。
自分で交換できる仕様ではないこと、数百円の電池を交換するのに数千円かかること、交換に出している間は炊飯器を使えないことなど。
電池交換のハードルが高いので、予約炊飯の設定が消えないように電源コードをつなぎっ放しにする事で電池交換せずにしのいでいる人もけっこう目にした(空焚き等の危険があるかも)。
これらの不満については私もほとんど同意見だけど、安全面から致し方ない面もあるのかも、とも思っている。
家電製品(特に発熱製品)の故障や不具合は怖い。消費者はもちろん怖いけど、メーカーにとっても大打撃になる。
例えば過去にはナショナル(現・パナソニック)の石油ファンヒーターやTDKのスチーム加湿器などの死亡事故からリコール・回収問題になり、その業種から撤退してもなお回収作業を続けなければならない事態になったことがある。
消費者として、象印などの優秀なメーカーが炊飯器を作れなくなる事態は困る。
メーカーは事故の原因を極力なくしたいと思っているだろう。総合家電メーカーよりも炊飯器など発熱製品の売り上げ比率が多そうな象印やタイガーはなおさらのこと。
消費者が勝手に分解しにくい構造にして、電池の寿命あたりで早めに買い換えてもらったほうが、本体の劣化からくる故障・事故も減るはず。
家電製品を壊れるまで(それこそ火を吹くまで)使う人はたまにいるけど、何十年も使った家電製品の内部は部品や絶縁が劣化してボロボロだったりする。そんな人が事故を起こさないための安全装置と言えなくもない。
だから単純に「買い換えサイクルを上げて儲けたいためのタイマーなんだろう」とは言えない。
とは言ってもモヤモヤした部分があるのは確か。補修用性能部品の保有期間(製造打ち切り後6年)くらいはきっちり動くだけの電池を載せるとか、高額機種を電池交換できる仕様にしてみるとか、高価格帯商品の増えた今、メーカーに考え直してほしい気もする。
似たモヤモヤを感じていた製品にはパソコンのインクジェットプリンターがあるけど、異常に高いインクタンクや廃インク吸収体満タンで使えなくなる仕様に対する不満は、大容量インクタンクや補充可能インクタンク、廃インクタンク交換機能のついた製品(エプソンのエコタンクシリーズ等)が出ることで改善している。炊飯器メーカーもユーザーの不満に気がついたらぜひ動いてほしい。
余談だけど充電式ハンディ(スティック型)掃除機の充電池交換でも同じ問題が発生している模様。私は日立の紙パック掃除機を大満足で使っていて(レビューはこちら)ハンディは持っていないけど、バッテリーを自分で交換できる機種とできない機種がある、自分で交換できない機種は修理扱いになって数万円かかるなどの口コミを見かける。交換できるバッテリーでも純正は1万円以上とけっこう高価で、安く上げようとしてダイソンの非純正バッテリーを使ったユーザーの発火事故が報道されたりもしているけど(記事はこちら)、修理扱いだとさらに維持費が上がる。これから買う人はこの点にも注意したほうがよさそう。
●最後に:電池交換は安易におすすめできない
このブログ記事は「電池交換はかなり大変そう」ということを伝えるために書いていて、むしろメーカーの電池交換体制が変わることで改善してほしいと思っている。
この記事に出てきた程度の工具類は普通に持っていて、ここを見なくても同様のスキルで分解できる人はともかく、それ以外の人には分解を考え直してもらうために書いている感じ。
発熱製品は危ない。私が電池交換した非IH炊飯器はまだマシだけど、最近の高機能IH炊飯器なんてもう電熱器のレベルじゃないハイテク機器のようで、他の方のIH炊飯器分解記事を読んで私には無理だと思ったりしている。
釈然としないかもしれないけど、電池交換はメーカーに任せたほうがいいのではと思う。